散歩がてら、江戸東京博物館の裏側まで足をのばしてみよう。そこには、日本のたい焼きの源流を受け継ぐ老舗があるのだ。
「大阪から出てきた神戸(かんべ)清次郎という人が、麻布十番に浪花家という店を開いて、日本で初めてたい焼きを売り出したんだよ。その弟の源治郎さんと、ウチのじいさんが一緒にそこで修行をしてて、麻布が総本店、こっちが本店として味を受け継いだんだ」。本店の3代目になるご主人・中村末雄さん(63歳)が、古い家系図を示しながら説明してくれる。日本のたい焼きの元祖は、両国にあったのだ。
1個130円。もちろん、頭から尻尾まであんこがぎっしり。そしてそのあんこ。懐かしく自然な甘味がある。「豆の一粒一粒に、しっかり味をしみこませるんですよ。だから何個食べても胸焼けしないよ。この秘伝は、まだ息子にも教えてないんだ」。同じあんを使った氷あずき500円も、知る人ぞ知る絶品である。あんは、毎朝4時から仕込むそうだ。まさに丹精の味。
「あとは息子にいい嫁が見つかればね」と笑うご主人。
●墨田区亀沢1-24-2 03-3623-2267
営業時間/10:30〜18:00 日・祝日定休 |